
西はりま地方が誇る地場産業「アイアン」
刀鍛冶の技術を応用し、西はりまで完成した国産初のアイアンヘッド 昭和3年頃、兵庫県工業試験場三木分場にグリーンのホールカップ切りと一緒に、アイアンヘッドが研究材料として持ち込まれました。
その担当研究員の一人に松岡文治さんという人がいました。
松岡さんは川辺村(現市川町西川辺)の鍛冶工 森田清太郎さんにアイアンヘッド製作を依頼しました。 当時はアイアン製作の為の資料もなく、何度も試行錯誤を重ね、ついに刀鍛冶(かたなかじ)の技術を応用した鍛造(たんぞう)製法による国産初のアイアンヘッドが完成、昭和5年に量産化に成功しました。
開発にかかった歳月は実に3年、日本のアイアンヘッドはこの西はりまで産声をあげました。
市川町サイトより
http://www.ichikawa-hyogo.jp/golf/knowing.html
さて、西はりま地域の中でも最も多くのメーカーが集まる市川町のアイアンは鍛造アイアンがメイン。
鍛造とは加熱した軟鉄を金型に入れて加圧成型する鍛造で、刀鍛冶の技術の応用で作られており、 これが「Forged」と呼ばれています。
鉄内部の組織が緊密になり、日本刀のような柔軟なしなりを生むと言われています。
打感が違う(柔らかい)と言われている由来ですね。
市川町ではこの鍛造アイアンを「ichikawa Forged」としてふるさと納税で展開中
この、ふるさと納税の市川アイアン、受注生産のため時間はかかりますが
自分用に調整してから送ってくれるらしいので、まさに「世界にひとつ」のオリジナルアイアンとなります。一本もっててもいいかもしれませんね。
職人がいる町、市川町〜プロは職人を使う〜
市川町のアイアンは鍛造であるため、手作業の技術が多く、多くの職人さんがいらっしゃいます。
この技術、世界が認める職人技で市川アイアンは日本国内よりも海外の方に人気が高いという事態。
市川町のサイトに職人さんを取材した動画がありました。
「総重量を変えずに薄くする、あるいは厚みはそのままで重量を軽くする」
「ロフトを変えずにストレートからグースネックまで要求通りの調整が可能」
「説明を聞くだけで、設計図などなくても求める通りの形状に仕上げることができる」
など、なんだかすごい職人さんがいらっしゃいます。プロの方も認める技術で、根強い人気と信頼があるようです。
また、この動画にでてくる藤本技工さんは「火造り製法」という、熱したヘッドをハンマーなどで叩いて調整していくという完全オーダーメイドのアイアン・パターなどをつくれます。
スワンネックパターやロフト角70度の超グースネックのウェッジも手で難なく創り出すそうで、これぞ職人技という感じですね。
他にも市川町主導で日本刀に使う玉鋼を使ってアイアン作ったりもしてます。
三浦技研の会長さんのアイアン製造技術と播磨刀匠の日本刀の技術が融合してできたそう。
アイアンに日本刀のような刃紋がでてすごくかっこいい仕上がりになっています。これも海外の方に受けそうですが、
「玉鋼は高価で数も少なく、量産化できるようなクラブではありません。値段をつけるなら200万円を優に超えるでしょう」(市川町商工会)ということで販売の予定はないそうで残念です。
市川町ではピーク時300社以上あったアイアン製造会社もいまは、10社程度が残るのみとなっています。
ただ、最近はアイアン発祥の地としてのPRや鍛造アイアンの良さが再確認され、じわじわと人気が出てきているようです。
8月には「ゴルフまつり」というイベントも開催されるそうで、ますます市川町のアイアンから目が離せません。